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2003年08月15日

夏風邪注

夏風邪をひいた。最初は咽の痛みと発熱であった。3日もすると、それは鼻風邪にとってかわった。咽と鼻とをつなぐ管のあたりが、ヒラヒラとどうも落ち着かない。臭覚はそのつぼみをすっかりと閉じてしまった。

何十辺と通っている近所の西友に向かう。電化製品、布団、紳士服、などどれも見慣れた風景だ。が、どうもおかしい。視覚と聴覚では確かにそこは西友であると認識しているのだが、臭覚が全くきかないため、いまひとつの確信がもてないのだ。

ここは本当に西友なのか…。

空中を散歩しているような、ふわふわとした足取りで、蒲団売り場に向かう。い草マットに鼻をつけて、思いきり匂いを吸ってみる。うむ、確かにい草の粉っぽい独特の雰囲気が伝わってくる。が、それは味わうまでには到達しない。「あぁ、い草の匂いだなぁ」と、しみじみ感じるまでにおよばないのだ。

家に戻り、風呂に入る。どうもおかしい。あんなに汗をかいたのに、自分は全くの無臭であった。シャボンの匂いもしない。暗暗とした眩暈を感じる。熱があるようだ。

匂いがしないだけで、これほどまでに自分が中ぶらりんで不確かな存在になってしまうものなのか。線香の匂い、二の腕の匂い、パソコンの周辺機器から漂う匂い、三角コーナーの匂い、雨の匂い……匂い、匂いがかぎたい。


投稿者 wakaba : 2003年08月15日 19:27

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